甲州石班澤
甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ)
山梨県南巨摩郡鰍沢
------------------------------------------------
石班澤(鰍沢)は、釜無川と笛吹川などが合流して富士川の荒波となります。
岩に波がぶつかり激しく泡立っています。
荒波とは対照的に岩場で漁師が黙然と一人網を打っています。
漁師の背中から頭、そして手元からピント張った網へとつながり、三角形を描いています。
その相似形が遠景の裏富士として描かれています。
緊張感をもって網を打つ孤高の漁師に対して、岩場で魚籠をのぞく子どもが全体の張り
つめた感覚をやわらげております。
初摺は藍一色に摺られ、北斎の藍摺の中でも最高傑作と評されていますが、後摺では
雲間に橙色が引かれるなど色数が増やされています。
------------------------------------------------------